エンディングノートは何を書く?まず書いておきたい3つのことと始め方

エンディングノートという言葉は耳にするけれど、いざ書こうとすると手が止まってしまう。項目の多さを前にして、そのままになっている。そんなお話を、私たちもよくお聞きします。

「全部書かないと意味がないのでは」「何から始めればよいのか分からない」と感じて、手を付けられていない方は少なくありません。けれども、エンディングノートは、最初からすべての項目を埋める必要はありません。空欄があってもかまいませんし、あとから書き足しても大丈夫です。

この記事では、JA東京中央セレモニーセンターが、エンディングノートの役割と、まず書いておくと役に立つ3つのこと、書けない項目の扱い方、ご家族との共有の仕方までを、やさしくご紹介します。今日ひとつ書いてみようかな、と思っていただけたら幸いです。

JA東京中央セレモニーセンター 事業責任者の奥津 真
著者

奥津 真JA東京中央セレモニーセンター 事業責任者

葬祭ディレクターとして長年にわたり数多くのご葬儀に携わり、ご家族様一人ひとりの想いに寄り添ったお見送りをサポートしてきました。現在はJA東京中央セレモニーセンターの事業責任者として、世田谷区・杉並区・大田区を中心とした地域の葬祭サービスの運営に携わっています。現場で培った経験と専門知識をもとに、ご葬儀・家族葬・終活・供養に関する情報を、ご家族様の目線で分かりやすくお伝えすることを大切にしています。

JA東京中央セレモニーセンター 前代表取締役社長/JA葬祭経営コンサルタントの丹野 浩成
総監修者

丹野 浩成JA東京中央セレモニーセンター 前代表取締役社長/JA葬祭経営コンサルタント

1973年にJAへ入職し、1976年より葬祭事業に従事。1996年にJA東京中央葬祭事業センター長、2000年からは株式会社JA東京中央セレモニーセンター代表取締役社長を歴任。また、全国JA葬祭研究会会長、全国JA葬祭経営研究会初代会長を務めるなど、JA葬祭業界の発展に尽力。全国各地で講演活動や人材育成に携わり、葬祭マーケティングや地域共生をテーマとした活動を続けています。

株式会社JA東京中央セレモニーセンター 代表取締役社長の渡邊 明義
監修者

渡邊 明義株式会社JA東京中央セレモニーセンター 代表取締役社長

株式会社JA東京中央セレモニーセンターの代表取締役社長として、世田谷区・杉並区・大田区を中心に、地域に根差した葬儀サービスの提供に携わっています。JAグループの一員として、「ご家族様に安心して故人様をお見送りいただくこと」を大切に考え、事前相談からご葬儀後のサポートまで、一人ひとりの想いに寄り添った対応に努めています。また、地域の皆様が葬儀や終活について正しい知識を持ち、安心して備えられる環境づくりも重要な役割の一つと考えています。

株式会社ディライト 代表取締役の高橋亮
監修者

高橋 亮株式会社ディライト 代表取締役

葬儀業界専門のWebコンサルティング会社「株式会社ディライト」代表取締役。 全国の葬儀社に対するWeb戦略支援を手掛け、ホームページ制作、SEO対策、MEO対策、コンテンツマーケティングなどを通じて、葬儀社とご家族様をつなぐ情報発信を支援しています。これまで多くの葬儀社の集客支援やブランディングに携わり、葬儀業界におけるWeb活用の普及と情報品質の向上に取り組んできました。本コラムでは、専門性の高い葬儀情報を正確かつ分かりやすくお伝えするため、利用者視点とデジタルマーケティングの知見をもとに監修を行っています。

エンディングノートとは、
どのようなものでしょうか

エンディングノートは、ご自身の情報やお気持ちを書きとめて、ご家族に伝えておくためのものです。特別なものを用意しなくても始められます。決まった書式はありませんので、お手元のノートや手帳に書いていただいてもかまいません。

よく似たものに遺言書がありますが、役割は少し異なります。

エンディングノート遺言書
おもな目的情報や希望をご家族に伝える財産の引き継ぎ方を定める
書式自由に書ける法律で定められた形式がある
法的な効力ありません形式を満たせば効力があります

エンディングノートに書いた内容には、遺言書のような法的な効力はありません。とはいえ、この記事でお伝えしたいのは法律のことではなく、ご自身の情報や思いを、ご家族に分かる形にしておくという点です。難しく考えず、暮らしの覚え書きに近いものとお考えいただければと思います。

エンディングノートは、
全部書かなくても大丈夫です

エンディングノートの書式や見本には、生い立ちから財産のこと、ご葬儀の希望まで、たくさんの項目が並んでいるものもあります。すべて書き切ることを目標にすると、どうしても負担が大きくなってしまいます。

エンディングノートは、こう考えると気が楽になります

  • 空欄があっても差し支えありません
  • 思い出したときに、あとから書き足せます
  • 考えが変わったら、書き直していただいてかまいません
  • 一度で仕上げるものではなく、少しずつ育てていくものです

完成させて大切にしまっておくもの、と考えるより、暮らしの変化に合わせて少しずつ書き足していくもの、と考えていただくほうが続けやすくなります。書けるところから、ひとつずつで十分です。

まずは「3つだけ」書いてみる

どこから手をつけるか迷われたときは、次の3つから始めてみてください。この3つが書いてあるだけでも、いざというときにご家族が助かる場面が多くあります。

連絡先

もしものときに、ご家族が誰に連絡すればよいのかが分かるようにしておくものです。

  • 連絡してほしいご家族やご親族
  • 親しくされているご友人
  • かかりつけの病院
  • 菩提寺(ぼだいじ/ご先祖さまのお墓があり、法要をお願いしているお寺)
  • お勤め先や、お知らせしたい関係先

すべてを書き出さなくても大丈夫です。思いつく方から、お名前と連絡先だけでも書きとめておくと、それだけで十分に役に立ちます。

大切な書類や情報のある場所

ご家族が探すことになりやすいものが、どこにしまってあるかを書いておきます。

  • 保険証券
  • 通帳
  • 印鑑
  • 年金に関する書類
  • 不動産に関する書類
  • お使いのスマートフォンや、インターネット上のお申し込みに関すること

ここで大切なのは、中身を細かく書くことではなく、必要なものがどこにあるのかがご家族に分かる状態にしておくことです。「寝室の茶色い引き出しの中」といった書き方で十分です。

書き方で気をつけたいこと

暗証番号やお使いのパスワードそのものは、エンディングノートに書き込まないほうが安心です。ノートを紛失した際に、そのまま使われてしまうおそれがあります。「どの銀行を利用しているか」「どこにしまってあるか」までにとどめておくと、安全とご家族の分かりやすさの両方が保てます。

ご家族に伝えておきたい希望

3つめは、これから先について、今のお気持ちを書きとめておくところです。

  • これからの暮らしで大切にしたいこと
  • 医療や介護について考えていらっしゃること
  • ご葬儀について、希望があればその内容
  • ご家族に伝えておきたいこと
  • 大切にしているものや、思い出の品

ご葬儀について細かく決めておかなければならない、ということはありません。「静かに見送ってもらえたら」「ここから先はご家族に任せたい」という書き方でも、ご家族にとっては十分な手がかりになります。

書けない項目は、
そのままで大丈夫です

「ご葬儀のことはまだ決められない」「医療や介護については考えがまとまらない」「家族に何を伝えたいのか、自分でも分からない」。そうした状態でも、何も差し支えありません。むしろ、それが自然なことだと思います。

答えが出ないときの書き方

  • そのまま空欄にしておく
  • 「まだ決めていない」と書いておく
  • 時間をおいて、あらためて考える
  • ご家族と話してから書く

「まだ決めていない」と書いてあること自体が、ご家族にとってはひとつの情報になります。無理に答えを出そうとせず、そのときのお気持ちのままで大丈夫です。

書くことよりも、
伝えておくことが大切です

丁寧に書いたエンディングノートでも、ご家族が保管場所をご存じないと、必要なときに見つけていただけないことがあります。

そこで、「エンディングノートを書いていること」と「どこにしまってあるか」だけは、どなたかにお伝えしておくと安心です。ご家族お一人にでもかまいません。

中身をすべて見ていただく必要はありません。読んでほしい時期が来るまでは開かないでほしい、という形でも差し支えありませんので、ご自身が心地よいと感じられる範囲でお伝えいただければと思います。

エンディングノートをきっかけに、
ご家族で話してみる

エンディングノートの役目は、お一人で完璧な答えを書き上げることだけではありません。ご家族と話すきっかけになることも、大きな役割のひとつです。

あらたまって「終活の話をしましょう」と切り出すと、どちらも構えてしまいがちです。お茶を飲みながら「保険証券はここにしまってあるからね」と一言添える。そのくらいの軽やかさで十分に伝わります。

ご家族の側からお尋ねになるときも同じで、日々の会話の合間に少しずつ聞いておくほうが、お互いに話しやすいものです。

終活について調べ始めると、分からないことが次々と出てくるものです。JA東京中央セレモニーセンターでは、まだ何も決まっていない段階のご質問にもお答えしています。「こんなことを聞いてもよいのだろうか」という内容でも、安心してお尋ねください。

まとめ

エンディングノートは、全部書かなくても大丈夫です。まずは連絡先、大切な書類や情報のある場所、ご家族に伝えておきたい希望。この3つのうち、書けそうなものからひとつだけで十分です。

空欄があってもかまいませんし、気が変わったら書き直していただいてかまいません。そして書いたあとは、しまってある場所をどなたかにお伝えいただければ、それでひと安心です。

終活は、一度にすべてを決めるものではありません。できることから、少しずつ始めていただければと思います。JA東京中央セレモニーセンターでは、終活に役立つ記事や、地域の皆さまにご参加いただけるイベントもご案内しています。ご興味のある方は、開催中のイベントもご覧ください。

シェアしていただけると励みになります